【弁護士コラム】法務局における自筆証書遺言保管制度の利用状況
2020年(令和2年)7月10日から、遺言書の新たな保管制度として、自筆証書遺言を法務局で保管して貰うことが可能になりましたが、その後の利用状況は、次のとおりです。
令和3年 1万7002件
令和4年 1万6802件
令和5年 1万9336件
(法務省民事局「遺言書保管制度の利用状況」(令和5年12月)より)。
この制度は、自宅で保管されることが多い自筆証書遺言書の紛失や改ざん、相続人に発見されないといったリスクを回避でき、家庭裁判所の検認手続きも不要な上、保管申請にかかる費用も低廉で、近くの法務局で保管申請ができるなどメリットが多く、制度の創設時には、広く利用されるだろうと予想されていました。
ただ、現状では、次のとおり公正証書遺言書の作成件数の方が、はるかに上回っています。
公正証書遺言書の作成件数
令和3年 10万6028件
令和4年 11万1977件
遺言書保管制度による遺言書は、あくまで自筆の遺言書なので、内容のチェックが行われない等のデメリットもあり、弁護士の立場からは、公正証書遺言の作成をお勧めしています。
【2024年1月28日最終更新】
執筆者:渋谷シエル法律事務所 弁護士小林ゆか
相続コラム一覧