【弁護士コラム】相続登記の義務化(2021年4月21日不動産登記法の改正案が成立)
<背景>
平成29年の国交省調査によると、所有者不明土地の割合は22%にも及び、土地の利活用を阻害しているという理由から、所有者不明土地の解決は喫緊の課題といわれていました。そして、所有者不明土地の多くは、相続登記や遺産分割が未了の土地なのです。
そこで、まず所有者不明土地の発生を予防する観点から、不動産登記制度の見直しが行われました。ここでの最も大きな見直しは、これまで任意だった相続登記の申請が義務化されたことです。
具体的には、
① 不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられました(改正不動産登記法76条の2第1項)。
② また、法定相続分による相続登記後に遺産分割によって当該法定相続分を超えて所有権を取得した者は、遺産分割の日から3年以内に所有権移転登記の申請をすることが義務付けられました(同76条の2第2項)。
③ そして、いずれの場合も、正当な理由のない申請漏れは10万円の過料に処せられます(同164条1項)。
また、同時に、これまで任意だった所有権の登記名義人の氏名・住所変更登記の申請も義務化されました。
具体的には、
① 所有権の登記名義人は、氏名や住所の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすることが義務付けられました(改正不動産登記法76条の5)。
② そして、この場合も、正当な理由のない申請漏れは5万円の過料に処せられます(同164条2項)。
改正法の施行日について
① 相続登記の義務化関係の改正は、令和6年4月1日から施行されます。
② 住所変更登記の義務化関係の改正については、公布後5年以内の政令で定める日から施行されます。
つまり、2026年までを目処に施行される予定です。
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